中国式現代化の建設に安全で確かなエネルギーの保障を提供する

ーー「国家エネルギー安全保障に関する習近平氏の論述ダイジェスト版」を学ぶ

出所:理論中国網 | 著者:中共中央党史・文献研究院 | 発表時間:2025-09-09

 エネルギー安全保障は経済・社会発展の全体的局面に関わる重要な事柄である。中国共産党第18回全国代表大会以来、習近平氏を核心とする党中央は国家の発展と安全保障の戦略的な観点から、エネルギー安全保障の新戦略を打ち出し、エネルギー消費革命、エネルギー供給革命、エネルギー技術革命、エネルギー体制革命を推進し、国際協力を全方位的に推進した。また、中国の新型エネルギーシステムは加速的に構築され、エネルギー安全保障の基礎を固め続け、経済・社会の発展に力強い支えを提供してきた。最近、出版された「国家エネルギー安全保障に関する習近平氏の論述ダイジェスト版(以下、「論述ダイジェスト版」という)」は習近平総書記の関連する重要文献から抜粋した計217段落の論述を、8つのテーマに分けて収録している。これらの重要な論述を真剣に学ぶことは、新時代・新征途において新エネルギー発展と国家のエネルギー安全保障を統合的に計画し、エネルギー革命を踏み込んで推進し、エネルギー強国の建設を加速させ、中国式現代化の建設に安全で確かなエネルギーの保障を提供する上で、非常に重要な意義を持つ。

 一、エネルギー強国の建設を加速させ、中国式現代化の建設に安全で確かなエネルギーの保障を提供する

 エネルギー安全保障は、国家の繁栄発展、人民生活の改善、社会の長期安定にとって極めて重要であり、最も重要な安全保障の一つである。習近平総書記は、「エネルギー保障と安全は国計民生にかかわる、絶えず無視できない『国之大者』(党と国家の前途命運、中華民族の偉大な復興、人民の幸福と安寧、社会の長期的安定等に関わる、国家にとって大事なもの)である」と指摘した。エネルギーという茶碗は必ず自らの手で持つべきである。われわれは国家発展と安全保障の戦略的高度から、情勢を見極め、勢いをとらえ、エネルギーの大勢に順応する道を見つけなければならない。「論述ダイジェスト版」の第1、2章は、習近平総書記の関連する精緻な論述を集中して反映している。

 党のエネルギー政策に対する指導を強化する。長期にわたる発展を経て、中国は世界最大のエネルギー生産国および消費国となり、石炭、電力、石油、天然ガス、新エネルギー、再生可能エネルギーが全面的に発展したエネルギー供給システムを形成した。技術設備の水準は著しく向上し、生産・生活におけるエネルギー利用条件は顕著に改善され、世界最大のクリーンエネルギーシステムが構築された。習近平総書記は、エネルギー需給構造の新たな変化と国際エネルギー発展の新たなトレンドに直面して、国家エネルギー安全保障を確保するためには、エネルギー生産と消費の革命を推進しなければならないと強調した。これは中国のエネルギー発展の国策であり、その基本的要件は「四つの革命」と「一つの協力」に集約できる。「四つの革命」とは、エネルギー消費革命、エネルギー供給革命、エネルギー技術革命、エネルギー体制革命であり、「一つの協力」とは、全方位的な国際協力の強化である。中国共産党第18回全国代表大会以来、習近平氏を核心とする党中央は、大局を掌握し、長期的視点に立って、全局に関わり、長期に関わる問題に対して一連の重大な発展戦略を実施してきた。例えば、エネルギー消費、エネルギー供給、エネルギー技術、エネルギー体制の革命、そしてエネルギー国際協力の強化を提唱する「新しいエネルギー安全保障戦略」が挙げられる。党中央は、エネルギー革命を深く推進し、エネルギー強国を早期に建設する必要性を強調している。さらに、新エネルギー開発と国家エネルギー安全保障のバランスを取り、新エネルギーの質の高い発展を促進することの重要性も力説している。これらの重大な戦略と重要な政策決定は、中国の経済発展を根底から変えつつあり、今後もその影響は長期にわたって続く。

 国民のための利便性と安心に焦点を当て、民生用エネルギーの安全で安定した供給を確保する。中国式現代化は、民生を第一とする。習近平総書記は、「党と政府のすべての活動は、国民がより幸福な生活を送るためにある」と指摘した。党中央のエネルギー供給保障に関する様々な指示と要求を徹底し、国民のための利便性と安心に焦点を当て、多角的な措置を講じて需給調整を強化し、エネルギー供給保障能力を向上させる必要がある。大企業、特に国有企業は、率先して供給を確保し価格を安定させ、国民生活のためのエネルギー供給保障の責任を強化し、住民の日常生活の需要をより良く満たし、安全を確保しなければならない。全国が「一枚岩」となって、石炭、電力、石油、ガスの供給確保と価格安定に全力を尽くし、国民生活のためのエネルギーの最低ラインを守り、国民がエネルギーを利用でき、かつ無理なく利用できることを確実にすることが重要である。これは経済発展全体と社会安定の大局に関わり、国民生活にとって重要な事柄である。習近平総書記は、各級の党委員会と政府、各級の指導幹部は、安全な発展の理念をしっかりと確立し、常に人民大衆の生命の安全を最優先し、「発展は人の生命を犠牲にしてはならない」という考え方を確固として確立しなければならないと強調した。この観念は非常に明確で、非常に強く、非常に堅固でなければならない。各級の党委員会と政府の指導責任、関連部門の監督責任、企業の主体責任を具体化し、徹底する必要がある。一般的な普遍的検査に加えて、「四不両直」という方法、すなわち通知なし、挨拶なし、報告なし、同行・接待なしで、直接末端組織へ、直接現場へ赴き、抜き打ちで調査し、特に地下の石油・ガスパイプラインのような隠れた災害の危険性を深く調査する必要がある。常態化した安全生産検査メカニズムを確立し、定期的または不定期に、抜き打ちで、徹底的な安全生産大検査を実施し、「誰が検査し、誰が署名し、誰が責任を負う」という原則を徹底し、検査で発見された問題は厳格に是正し、隠れた危険性を確実に排除し、万全を期さなければならない。

 エネルギー安全保障は、国家の経済・社会発展に関わる全体的かつ戦略的な問題である。現代の世界において、エネルギー問題は各国の国家安全保障における優先分野であり、エネルギーを掌握することは、国家の発展と安全戦略の要を掴むことにあたる。習近平総書記は、「エネルギーの重要性とエネルギー資源の希少性が、エネルギーを掌握する者が発展の空間を掌握し、富を創造する重要な源泉を掌握する可能性を決定する」と指摘した。また、習近平総書記は常にボトムライン思考を語り、エネルギー問題においては常に憂患意識と危機意識を保つことを強調している。発展と安全保障の統合に焦点を当て、エネルギーなどの重点分野に密接に注意を払い、予見性を高め、鋭敏性を向上させ、システムリスクの発生という最低ラインをしっかりと守らなければならない。中国は一人当たりのエネルギー資源賦存量が著しく不足しており、加速的な発展はより多くのエネルギー資源と環境的制約に直面している。これは、中国が欧米の近代化の古い道を歩むことができないことを決定づけている。習近平総書記は、「自らの茶碗をしっかりと持ち、製造業、食料、エネルギー、戦略物資備蓄などの基礎的なものを堅固に築くべきである。これが底力である」と強調した。基礎を固めることは、他国と肩を並べ、あるいはリードするための前提条件であり、これは「国之大者」であるため、着実に、しっかりと取り組む必要がある。石炭が豊富で石油が少なく、ガスが乏しい「富煤貧油少気」が中国の国情であり、国内のエネルギー生産基盤を強化し、国家エネルギー安全保障を確保し、経済・社会発展を保障する上で、さらなる功績を上げ、新たな成果を生み出すことが求められる。

 カーボンピークアウトとカーボンニュートラルを積極的にかつ着実に推進し、エネルギー安全保障を確保する。2020年9月22日、習近平総書記は第75回国連総会の一般討論演説において、中国が国の決定する貢献(NDC)を強化し、より強力な政策と措置を講じ、二酸化炭素排出量を2030年までにピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現するよう努力すると発表した。習近平総書記は、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの推進は、党中央が熟慮の末に下した重大な戦略的決定であり、国際社会に対する中国の厳粛な約束であるとともに、経済構造の転換と高度化、グリーン・低炭素産業における競争優位の形成、質の高い発展を実現するための内在的な要求であると指摘した。これは他国に求められて行うものではなく、中国自身が必ず行わなければならないことである。中国が約束した「双炭(カーボンピークアウトとカーボンニュートラル)」目標は揺るぎないものであるが、この目標を達成するための経路、方法、ペース、強度は、中国自身が決定すべきであり、他国に左右されてはならない。習近平総書記は、「双炭」目標の実現は複雑なシステムプロジェクトであり、長期的な任務であって、一朝一夕に達成できるものではなく、現実から乖離してはならないと強調した。中国のエネルギー資源賦存量に基づいて、「先に確立してから破壊する(先立後破)」という原則を堅持し、計画的かつ段階的にカーボンピークアウト行動を実施する必要がある。エネルギー消費総量と強度の規制を完備し、化石燃料消費を重点的に管理し、徐々に炭素排出総量と強度を「双控(総量管理と強度管理の双方)」する制度に移行させる。エネルギーのクリーン・低炭素・高効率利用を推進し、工業、建築、交通などの分野におけるクリーン・低炭素な転換を促進する。エネルギー革命を深く推進し、石炭のクリーンで高効率な利用を強化し、石油・ガス資源の探査・開発および埋蔵量増加・生産量拡大を強化する。新型エネルギーシステムの計画・建設を加速させ、水力発電の開発と生態系保護を統合的に進め、原子力発電を積極的かつ安全で秩序ある形で発展させる。エネルギー生産・供給・貯蔵・販売システムの建設を強化し、エネルギー安全保障を確保する。

 二、省エネルギー優先の方針を徹底し、多様なエネルギー供給システムを確立する

 エネルギーの生産と消費の革命は、生態文明を築くための基礎的な事業である。習近平総書記は、エネルギーの生産と消費の革命をより良く推進し、省エネルギー優先の方針を効果的に徹底し、国内の多様な供給に立脚して安全を確保し、国家のエネルギー安全保障を保障する必要があると指摘している。「論述ダイジェスト版」の第4、5章は、習近平総書記の関連する重要な論述を十分に反映している。

 エネルギー消費「双控」から炭素排出「双控」制度への転換を加速させ、グリーン低炭素発展を推進する。14億の人口を抱える中国は、社会主義現代化を全面的に建設する上で、過去の先進国が辿った高エネルギー消費、高排出の古い道を進むことはできない。グリーン低炭素の発展軌道へと転換する必要があり、これこそが中国の現代化にとっての必然の道である。無制限にエネルギーを消費することは、中国の資源や環境が耐えられないだけでなく、地球全体の資源や環境も耐えられない。われわれは、発展方式のグリーン転換を加速させ、より自覚的にグリーン発展、循環発展、低炭素発展を推進しなければならない。習近平総書記は、エネルギー消費革命を推進し、不合理なエネルギー消費を抑制することは、エネルギー消費総量を断固として管理し、省エネルギー優先の方針を効果的に徹底することであると指摘する。エネルギー消費総量の抑制は、エネルギー効率向上、集約的かつ高効率なエネルギー利用を促進するための逆インセンティブメカニズムを形成する。単位生産あたりのエネルギー使用量が減少すれば、既存のエネルギー消費総量でより大きな経済規模を支えることができ、経済発展の質と効率も向上させることが可能となる。したがって、エネルギー消費総量を管理することが最優先課題である。エネルギー消費「双控」措置を確実に実行し、総量を管理するだけでなく、国内総生産(GDP)あたりのエネルギー消費強度も管理する必要がある。脱炭素、汚染削減、緑化拡大、成長を協調的に推進し、条件を整えてエネルギー消費「双控」から炭素排出「双控」制度への移行を加速させ、硬直的な制約を形成する。グリーン循環低炭素発展は、現代における科学技術革命と産業変革の方向性であり、最も将来性のある発展分野である。中国はこの分野において相当な潜在力を持ち、多くの新たな経済成長点を生み出すことができる。習近平総書記は、グリーン発展は質の高い発展の基盤であり、新質生産力そのものがグリーン生産力であると強調する。グリーン発展を堅持することは必然の道である。経済成長の低炭素化を推進し、グリーン発展を実現することは、われわれが乗り越えなければならない大きな壁である。この点において、継続的に増分を拡大するとともに、徐々に既存を最適化する必要がある。増分を拡大するとは、インターネット、ビッグデータ、人工知能、第5世代移動通信(5G)などの新興技術とグリーン低炭素産業との深い融合を推進し、グリーン製造システムとサービスシステムを構築し、経済総量におけるグリーン低炭素産業の比率を高めることである。既存を最適化するとは、鉄鋼、非鉄金属、石油化学、化学、建材などの伝統産業の最適化と高度化に多大な労力を傾け、工業分野における低炭素プロセスの革新とデジタル化への移行を加速させることである。

 省エネルギーを経済社会発展の全過程と各分野に貫徹し、エネルギー節約型社会の形成を加速させる。取るに節度があり、使うに節度があれば、豊かになり、取るに無制限で、使うに節度がなければ、乏しくなる。現在、世界では一般的に省エネルギーを開発よりも優先すべきエネルギー源と見なし、石炭、石油、天然ガス、非化石エネルギーに次ぐ「第五のエネルギー」と呼ぶ。中国のエネルギー資源の国情は、われわれが大規模で浪費的なエネルギー利用方式から、集約的で高効率なエネルギー利用方式へと迅速に転換を促進するために、より一層の努力を払う必要があることを決定づけている。習近平総書記は、節約を優先し、全面的な節約戦略を実施し、各分野で節約行動を推進する必要があると指摘する。生産分野においては、資源の全面的節約、集約的、循環的利用を推進し、単位製品あたりのエネルギー消費量と物資消費量を削減し、製造業の技術改造を加速させ、投入産出効率を高める必要がある。また、産業構造の調整を断固として行い、一方で過剰生産能力の解消に揺るぎなく取り組み、もう一方で低エネルギー消費の先進製造業、ハイテク産業、サービス業を大いに発展させる必要がある。消費分野においては、国民全体の節約意識を高め、質素で適度、グリーンで低炭素な生活様式を提唱し、グリーンな政府機関、グリーンな家庭、グリーンなコミュニティ、グリーンな移動などの行動を幅広く展開する必要がある。エネルギー消費革命の推進は、政府、産業部門、企業の自覚的な行動となるだけでなく、社会全体の自覚的な行動とならなければならない。社会全体に勤倹節約の消費観をしっかりと確立させ、節約・集約・循環利用の資源観を確立させ、省エネルギーが資源を増やし、汚染を減らし、人類に恩恵をもたらすという理念を確立し、勤倹節約の良好な気風の形成に努める必要がある。習近平総書記は、「工業化が現在最も省エネルギーの潜在力を持つ分野であるならば、都市化は将来最も省エネルギーの潜在力を持つ分野である」と強調する。都市化における省エネルギーの取り組みを高度に重視し、生態文明の要求に合致する都市化の推進を主軸として、マクロ的には都市の合理的な配置を促進し、ミクロ的には都市形態を調整し、コンパクトな生態都市を発展させ、建築物と自動車の省エネルギー基準を高め、公共交通機関を優先的に発展させる必要がある。長年の努力の結果、中国のエネルギー消費構造は積極的に変化し、新エネルギーと再生可能エネルギーの利用において世界最大の国となり、資源消費強度は大幅に低下している。

 エネルギー供給の安定性、安全性、持続可能性を高め、新型エネルギーシステムの構築を加速させる。中国にとって、どのようなエネルギー構造が安全で持続可能だろうか。新旧エネルギーの協調とバランスをいかに適切に把握し、新旧エネルギーの秩序ある代替を推進し、エネルギー自給率を絶えず向上させ、エネルギー供給の安定性、安全性、持続可能性を高めるかは、われわれの前に突きつけられた重大な課題である。われわれは、現代世界のエネルギー発展の大きな流れに順応し、国情に立脚し、「先に確立してから破壊する」という原則を堅持し、新型エネルギーシステムの計画と構築を加速させ、伝統的エネルギーと新エネルギーの多角的補完と深い融合を重視し、エネルギー安全保障を確保する必要がある。習近平総書記は、エネルギー供給革命を推進し、多様な供給システムを確立することは、国内の多様な供給に立脚して安全を確保し、石炭のクリーンで高効率な利用を大いに推進し、非石炭エネルギーの発展に注力し、石炭、石油、ガス、原子力、新エネルギー、再生可能エネルギーが多角的に推進するエネルギー供給システムを形成するとともに、エネルギー輸送配電網と備蓄施設の建設を強化することであると指摘する。発展と安全保障を統合的に考慮し、エネルギー資源などの重点分野における安全保障能力を高め、石炭などの化石エネルギーの最低限の保障能力を強化する必要がある。重要なエネルギー資源の国内生産自給という戦略的ボトムラインを明確にし、国有企業の支援と基盤強化の役割を発揮させ、石油・ガスなどの資源の先進的な採掘技術の開発と応用を加速し、国家戦略物資備蓄制度の構築を強化し、肝心な時に最低限を保障する調整機能を果たすようにする。同時に、中国のエネルギー発展は、巨大な需要圧力、多くの供給制約、困難なグリーン低炭素転換任務といった一連の課題に直面している。これらの課題に対処する道は、新エネルギーを大いに発展させることである。中国は風力発電、太陽光発電などの資源が豊富であり、新エネルギー発展の潜在力は非常に大きい。習近平総書記は、クリーンエネルギーの発展は、エネルギー構造の改善、エネルギー安全保障の確保、生態文明建設の推進における重要な任務であると強調する。クリーンで低炭素、安全で高効率なエネルギーシステムの構築を加速することは、中国のエネルギー革命の主たる方向性である。新エネルギーとクリーンエネルギーの発展促進をより際立った位置に置き、光エネルギー、シリコンエネルギー、水素エネルギー、再生可能エネルギーを積極的かつ秩序ある形で発展させ、規模と効果のある風力、太陽光、バイオマス、地熱、海洋、水素などの新エネルギーの発展を加速する必要がある。水力発電の開発と生態系保護を統合的に進め、風力・太陽光・水力による多角的補完を推進し、原子力発電を積極的かつ安全で秩序ある形で発展させる。継続的な研究開発と蓄積を経て、中国の多くの新エネルギー技術と設備製造水準は世界をリードしており、世界最大のクリーン電力供給システムを構築した。新エネルギー車、リチウム電池、太陽光発電製品は国際市場で強力な競争力を形成しており、新エネルギーの発展はすでに良好な基礎を備えている。中国は世界のエネルギー発展の転換と気候変動対策における重要な推進者となっている。

  三、エネルギー技術革命を推進し、エネルギー体制改革を深化させる

 教育、科学技術、人材は、社会主義現代化国家を全面的に建設するための基礎的かつ戦略的な柱である。水資源、エネルギー、農業はいずれも科学技術に依存する。習近平総書記は、エネルギー技術変革の重大な役割を高度に重視し、世界的なエネルギー技術革命の新たな趨勢に緊密に追随し、産業チェーンを延長し、エネルギー資源の総合利用効率を高め、現代エネルギー経済に関する取り組みを適切に進める必要があると指摘する。「論述ダイジェスト版」の第6、7章は、習近平総書記の関連する重要な論述を全面的に反映している。

エネルギーの重要分野と重大な需要に焦点を当て、カギとなるコア技術の研究開発を加速する真の「大国の重器」は、必ず自らの手で掌握しなければならない。科学技術の研究開発は、問題指向を堅持し、最も喫緊で緊急な問題を目指し、国家の切迫したニーズと長期的需要から出発して、カギとなるコア技術に全力を挙げて取り組む必要がある。習近平総書記は、コア技術、鍵となる技術は、他国に頼って手に入れることはできず、自らの努力で獲得する必要があると指摘する。エネルギー技術の開発と応用の重点を決定するにあたっては、資源条件、技術基盤、環境容量、経済的合理性、国際協力の可能性などの要素を十分に考慮し、「三つのグループ」という道筋に従って、エネルギー技術革命の推進を加速する必要がある。一つ目は応用・普及させるグループである。比較的成熟しており、需要があり、市場があり、コストの低い技術を早急に産業化し、既存のエネルギー生産・応用技術水準を効果的に向上させる必要がある。二つ目は実証試験を行うグループである。一定の技術蓄積があるものの、技術プロセス路線がまだ定まっておらず、経済性と市場受容性が検証段階であり、大規模な産業化には至っていない技術については、試験を行い、技術の定型化と大量生産の道筋を模索する必要がある。三つ目は集中的に研究開発に取り組むグループある。主に将来性はあるものの、コア技術が他国に制約されており、集中的な努力と研究開発が緊急に求められる技術を指す。習近平総書記は、科学技術革新の強化を最も喫緊の任務とし、カギとなる技術、コア製品の反復的なアップグレードと新技術による知恵の付与を加速し、国家のエネルギー安全保障能力を高める必要があると強調する。独創的で先導的な科学技術の研究開発を強化し、設備製造をしっかりと自らの手で掌握し、自らの装備を用いて石油・ガス資源を開発し、エネルギー自給率を高めるよう努める必要がある。グリーン低炭素技術の研究開発に力を入れ、化石燃料のグリーンでスマートな開発とクリーン低炭素利用、再生可能エネルギーの大規模利用、蓄電、二酸化炭素の回収・利用・貯留などの重点に焦点を当て、先進的かつ適用可能な技術の研究開発と普及・応用を加速し、イノベーション成果の転化を加速する必要がある。人材育成モデルを革新し、高等教育機関に関連学科の建設を加速するよう奨励し、中国のグリーン低炭素発展に絶え間ない人材支援を提供する必要がある。

 エネルギー技術および関連産業を中国の産業高度化を牽引する新たな成長点に育成する。現在の国際社会において、新たな科学技術革命と世界的な産業変革が胎動しており、新技術の突破は産業変革を加速させ、世界経済構造と競争の構図に重大な影響を与えている。われわれはエネルギー技術変革の趨勢を深く認識し把握し、エネルギー技術革命を推進する必要がある。習近平総書記は、エネルギー技術革命を推進し、産業の高度化を牽引することは、中国の国情に立脚し、国際的なエネルギー技術革命の新たな趨勢に緊密に追随し、グリーン低炭素を方向性として、技術革新、産業革新、ビジネスモデル革新を分類して推進し、他の分野のハイテクと密接に結合させることであると指摘する。科学技術革新を牽引役とし、新エネルギー、グリーン低炭素などの先端技術の研究開発と応用普及を加速させ、伝統産業のハイエンド化、スマート化、グリーン化へのアップグレード改造を加速し、戦略的新興産業を育成・強化し、専門特化型・精巧型・特色型・新型企業(専精特新企業)の発展を支援する必要がある。また、デジタル経済と現代サービス業を積極的に発展させ、スマート化、グリーン化、融合化の特性を持ち、完全性、先進性、安全性要求に合致する現代的な産業システムを加速的に構築し、現代エネルギー産業クラスターを強化し、優良化する必要がある。国家の重要なエネルギーおよび戦略資源基地は、賦存特性と戦略的位置付けに立脚し、優位性のある特色産業を大いに発展させ、資源型地域の転換発展の新たな道筋を積極的に模索する必要がある。さらに、戦略資源の保護的開発、高品質利用、規範化管理を強化し、エネルギー資源の現地での深度加工を強化し、戦略資源産業を適切に発展させる必要がある。習近平総書記は、戦略的新興産業が未来の発展を牽引する新たな柱、新たな競争分野であると強調する。世界のエネルギー科学技術の最先端を注視し、エネルギーの重要分野と重大な需要に焦点を当て、技術路線を合理的に選択し、新型挙国体制の優位性を発揮させ、鍵となる中核技術の共同研究開発を強化し、科学研究成果の転化と応用を強化する必要がある。そして、エネルギー技術および関連産業を中国の産業高度化を牽引する新たな成長点に育成し、新質生産力の発展を促進する必要がある。

 エネルギー体制改革を深化させ、効率的な市場と有能な政府のより良い結合を推進し、エネルギー発展の高速道路を切り開く。エネルギー体制革命を推進するには、市場に資源配分の決定的な役割を果たさせるとともに、政府の役割をより良く発揮させる必要がある。習近平総書記は、改革を断固として推進し、エネルギーの商品属性を回復させ、有効な競争市場構造と市場システムを構築し、主に市場がエネルギー価格を決定するメカニズムを形成し、政府のエネルギー規制方法を転換し、エネルギー法治システムを確立・健全化する必要があると指摘する。競争性業務を開放し、炭素排出権、エネルギー使用権、水使用権、汚染排出権などの資源・環境要素を要素市場化配分改革の全体計画に一体的に組み入れ、譲渡、転売、抵当、出資などの市場取引行為を支援する必要がある。電力体制改革を深化させ、電力市場の全体設計を最適化し、クリーンで低炭素、安全で潤沢、経済的で高効率、需給協調的、柔軟でスマートな新型電力システムの構築を加速する必要がある。石油・天然ガス改革を深化させる必要がある。国家の石油・天然ガス安全保障能力の向上という目標を中心に据え、石油・天然ガス体制に存在する突出した問題に対応し、石油・天然ガス産業の上流、中流、下流の体制・メカニズム改革を積極的かつ着実に推進していく。また、石油戦略備蓄制度の整備を加速させ、期限を設けて天然ガスパイプラインの相互接続を完了し、国家天然ガス統一ネットワークの形成を加速させる必要がある。法治による保障を強化し、生態環境、資源エネルギーなどの分野における関連法律の制定・改正を統合的に推進し、良法によって善治を保障する必要がある。習近平総書記は、新エネルギーの発展と国家エネルギー安全保障を統合的に考慮し、計画先行を堅持し、トップレベルデザインを強化し、全体と部分の兼ね合いを適切に行う必要があると強調する。新エネルギーと伝統エネルギー、全体と部分、政府と市場、エネルギー開発と節約利用などの関係を適切に処理し、新エネルギーの質の高い発展を推進する必要がある。グリーン低炭素政策と市場システムを完備し、炭素排出権取引市場を拡大し、クリーンエネルギーの研究開発、投資、普及・応用を強力に支援する必要がある。新型エネルギーシステムの構築とエネルギー企業の転換の過程でリスクを予防・解消し、国家エネルギー安全保障の確保、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの達成に強力な支援を形成する必要がある。

 

 四、エネルギー国際協力を全方位的に強化し、世界の各国人民により良く貢献する

 エネルギー安全保障は、世界の発展分野において最も喫緊の課題の一つであり、国際社会共通の利益に関わり、地球の未来にも関係する。習近平総書記は、国際協力を全方位的に強化し、開放条件下でのエネルギー安全保障を実現することは、主に国内に立脚するという前提の下で、エネルギーの生産と消費の革命に関わるあらゆる側面において国際協力を強化し、エネルギー資源の安全保障を確保することであると指摘する。「論述ダイジェスト版」の第8章は、習近平総書記の関連する重要な論述を全面的に反映している。

 エネルギーのパートナーシップを構築し、世界のエネルギー安全保障の実現を支援する。中国は関係するパートナー国とともに「安定的で強靭な産業チェーン・サプライチェーン国際協力イニシアティブ」を立ち上げ、複数の国々と協力してグローバル・クリーンエネルギー・パートナーシップの構築を提唱している。エネルギー協力は、「一帯一路」共同建設の重点分野である。習近平総書記が2023年10月の第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラム開幕式での基調演説で指摘したように、数々の水力発電所、風力発電所、太陽光発電所、数々の石油・ガスパイプライン、そしてますますスマートで円滑な送電網は、エネルギー不足がもはや発展のボトルネックではなく、発展途上国のグリーン低炭素発展の夢を灯し、新時代の持続可能な発展におけるオアシス、灯台となっている。習近平総書記は、中国が各国と「一帯一路」共同建設の枠組み内でエネルギー分野の協力を強化し、共通の発展を推進する有利な条件を創造し、世界のエネルギー持続可能な発展を共同で促進し、世界のエネルギー安全保障を維持することを願っていると指摘する。石油・ガス協力と低炭素エネルギー協力の「二つの車輪」を積極的に回転させる必要がある。「石油・ガス+」協力モデルを引き続き推進し、石油、天然ガスの探査、採掘、精製、貯蔵、輸送など全産業チェーンにわたる協力を深化させる必要がある。また、世界のエネルギー革命とグリーン低炭素産業の活発な発展に順応し、原子力の平和利用、太陽エネルギー、風力エネルギー、水力発電などの分野での協力を強化し、クリーン低炭素エネルギー技術協力と新エネルギー設備の現地生産協力を強化し、エネルギー技術標準協力を強化し、エネルギー研究開発協力を深化させ、エネルギー立体協力の新たな枠組みを構築する必要がある。習近平総書記は、各国のエネルギー政策間の意思疎通を強化し、国境を越える石油・ガスパイプラインの安全保障協力に関する具体的な措置を策定し、「安全なパイプライン、グリーンなパイプライン、発展のパイプライン、友誼のパイプライン」を構築し、パイプラインの建設と運用が安全かつ信頼できるものであることを全力で保証し、パイプライン沿線地域の経済社会の持続可能な発展を促進する必要があると強調する。海上ルートは中国の対外貿易とエネルギー輸入の主要な経路であり、関連国との意思疎通と協力を強化し、海上航行の自由と航路の安全を共同で維持し、平和で安寧、協力とウィンウィンの海洋秩序を構築する必要がある。

 公平公正で、バランスが取れて普遍的に恩恵をもたらすグローバルエネルギーガバナンスシステムの確立を推進し、世界のエネルギー持続可能な発展を促進する。現在、グリーンで低炭素な循環型発展は人類共通の目標となっている。習近平総書記は、世界的なエネルギーガバナンス協力を強化し、多国間主義を断固として維持し、多国間協力を積極的に展開し、世界のエネルギーガバナンスシステムにおいて建設的な役割を果たし、世界のエネルギー発展により多くのプラスのエネルギーを注入する必要があると指摘する。世界経済ガバナンスを改善するという戦略的観点から、エネルギーパートナーシップを構築し、自由で開放的、競争的で秩序があり、効果的な規制のあるグローバルなエネルギー大市場を育成する必要がある。そして、エネルギー価格と市場の安定を共同で維持し、エネルギー効率を高め、世界的なエネルギーガバナンス原則を策定・改善し、消費国、生産国、通過国が平等に協議し、共同で発展する新たな協力の構図を形成する必要がある。関連分野の国際標準を策定・適用し、標準分野における国際協力を強化する必要がある。国際的な核安全保障システムを強化し、理性的、協調的、並行的な核安全保障観を堅持し、開放的で包容的な精神をもって、核安全保障運命共同体の構築に努める必要がある。習近平総書記は、グリーン低炭素転換はシステム的な事業であり、全体的なバランスを考慮し、全体的に推進しなければならないと強調する。新エネルギー産業チェーン協力を秩序立てて推進し、エネルギーのグリーン低炭素転換におけるウィンウィンの新モデルを構築し、世界のエネルギー変革を促進する必要がある。持続可能な発展の理念を正確に理解し、人民を中心とすることを堅持し、経済成長、国民生活の保障、省エネルギー・排出削減のバランスを適切に取り、現代科学技術革命と産業変革の大きな方向性に順応し、グリーン転換がもたらす巨大な発展の機会を捉え、経済発展の中でグリーン転換を促進し、グリーン転換の中でより大きな発展を実現する必要がある。

 世界のエネルギー安全保障とエネルギー発展の転換に中国の知恵と力を貢献する。気候変動とエネルギー問題は、現在の顕著な地球規模の課題であり、エネルギーの低炭素発展は人類の未来に関わる。中国は資源の全面的な節約を効果的に推進し、資源消費強度は大幅に低下しており、世界の省エネルギーおよび新エネルギー・再生可能エネルギー利用において最大の国である。習近平総書記は、中国がエネルギーの低炭素発展を高度に重視しており、国際社会と協力し、エネルギー協力を全方位的に強化し、エネルギー安全保障を維持し、気候変動に対応し、生態環境を保護し、持続可能な発展を促進し、世界の各国人民により良く貢献することを願っていると指摘する。中国はグリーンで低炭素かつ持続可能な発展の道を堅持し、クリーンエネルギーを大いに発展させ、産業構造を最適化し、低炭素エネルギーシステムを構築し、グリーン建築と低炭素交通を発展させ、国家炭素排出取引市場を確立することで、世界のエネルギー安全保障に重要な貢献をしている。中国は発展途上国のエネルギーのグリーン低炭素発展を強力に支援しており、国外での石炭火力発電所の新規建設を行わない。中国の新エネルギー産業は、開放的な競争の中で真の実力を培い、先進的な生産能力を代表している。これにより、世界の供給を豊かにし、世界的なインフレ圧力を緩和しただけでなく、地球規模の気候変動対策とグリーン転換にも大きく貢献している。習近平総書記は、互恵・ウィンウィンの方法で国際と国内の二つの市場、二つの資源を十分に利用し、対外投資リスクを効果的に防止するという前提の下で、関係国とのエネルギー資源協力を強化する必要があると強調する。そして、協力とウィンウィンのパートナーシップの構築に努め、自らの発展を実現すると同時に、より多くの他国と人民に恩恵をもたらし、地球規模での均衡の取れた発展を推進し、クリーンで美しい世界の建設、人類運命共同体の構築推進により大きな貢献を果たす必要がある。

 習近平総書記によるエネルギー安全保障に関する重要な論述は、その意図が高く、内容が豊かで、思想が深いものであり、「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」の重要部分を成している。われわれは、「論述ダイジェスト版」の深い学習と結びつけ、中国共産党第20回全国代表大会および中国共産党第20期中央委員会第2回、第3回全体会議の精神を深く学習・貫徹し、「二つの確立」の決定的な意義を深く理解する必要がある。それにより、「四つの意識」を強化し、「四つの自信」を固め、「二つの擁護」を達成し、時流に乗り、勢いに乗って、より一層の力で中国の新エネルギーの質の高い発展を推進する必要がある。これは、国家のエネルギー資源安全保障を確保し、社会主義現代化国家を全面的に建設するために、新たな貢献をなすことにつながる。

 (出典:「人民日報」2024年09月20日06面)


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