『「三農」政策を論じる』

出版社: 中央文献出版社

出版年日: 2022年6月

出版にあたって

 農業・農村・農民の問題は、国家の経済と国民の生活に関わる根本的問題である。中国共産党第18回全国代表大会以来、習近平氏を核心とする中共中央は、「三農問題」の解決を全党の最重要政策として堅持し、貧困脱却の難関攻略に勝利し、絶対的貧困問題の解決という歴史的成果を成し遂げ、農村振興戦略を実施し、農業と農村の歴史的成果と歴史的変革を促進してきた。農業の総合生産力は大台に達し、農民の収入は増え続け、農村の生活は大幅に改善され、農村の姿は一新され、党と国家の事業が新たな局面を全面的に切り開くうえでの重要な支えを提供した。習近平氏は歴史的視点で農業・農村・農民問題を捉え続け、一連の重要な論述を発表し、「三農」政策における一連の重大な理論的・実践的問題に理にかなった回答を示し、新時代の「三農」政策を成し遂げるための行動綱領と根本的根拠を提供した。

 「三農」政策に関する習近平氏の重要な論述は、「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」の重要部分をなし、新たな発展段階において「三農」政策を成し遂げることの重要性と緊急性を全党が十分に認識する後押しをし、全党と社会全体が力を挙げて農村振興を全面的に推進し、農業と農村の現代化を加速し、社会主義現代化強国を全面的に完成し、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現するうえで、非常に重要な指導的意義を持つ。広範な幹部と大衆が習近平氏の「三農」政策に関する重要な論述を深く学習するために、われわれは習近平氏の関連論述を編集して『「三農」政策を論じる』という本にした。

 同書は中国共産党第18回全国代表大会以来、「三農」政策に関する習近平氏の重要文書61編を収録しており、初公開のものも含まれる。

 中共中央党史・文献研究院

 二〇二二年五月

収録主要文章の概要

 中共中央党史・文献研究院が編集した、習近平総書記著『「三農」政策を論じる』には、総書記による2012年12月から2022年4月までの「三農(農業・農村・農民)」政策に関する重要原稿61篇が収録されている。以下はこの特別テーマ文集にある主要文章の概要である。

 ●「「三農」問題の解決を全党の最重要政策として堅持し、全党と社会全体が力を挙げて農村振興を全面的に推進する」は2020年12月28日、習近平総書記が中央農村工作会議において行った演説である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 第18回党大会以降、「三農」問題の解決を全党の最重要政策として堅持し、貧困脱却の堅塁攻略戦を小康社会の全面的完成に向けた象徴的な指標とし、人類史上空前の規模で、最も大きな力を注ぎ、最も多くの人々に恩恵を及ぼす貧困脱却の堅塁攻略戦を推進し、農村振興戦略を始動して、農業と農村の歴史的な成果と変革を後押ししてきた。中華民族の偉大な復興戦略の戦略的全局から見れば、民族が復興するには農村を振興しなければならない。世界の百年未曾有の大変局から見れば、農業の基盤をしっかり安定させ、「三農」の基礎をしっかり守ることは、情勢の変化に適応し、新たな局面を切り開くための基盤を安定させる「バラスト」となる。新たな発展の枠組みを構築し、戦略的基点を内需拡大に置き、農村は大きな空間を有しており、大いに力を発揮することができる。われわれは、大きな歴史観で農業、農村、農民問題を見据え、「三農」問題を深く理解してこそ、わが党・わが国・わが民族を一層理解できるようになる。社会主義現代化国家を全面的に建設し、中華民族の偉大な復興を実現するには、最も困難で最も繁雑で荷が重い任務は、依然として農村にあり、最も広範で最も深く厚みのある基礎は、依然として農村にあることを見取らなければならない。目下、農村振興を全面的に推進することは、われわれの使命となってきた。これは、「三農」政策の重心の歴史的な変化である。食糧安全の主導権をしっかりと握り、食糧生産を年々強化していかなければならない。農村振興戦略を全面的に実施する深さ・広さ・難しさは、いずれも貧困脱却の堅塁攻略戦に劣らなく、トップダウン設計を強化し、さらに有力な措置を講じ、さらに強力なパワーを集めて推進しなければならない。「三農」政策に対する党の全面的な指導を強化しなければならない。各級の党委員会は政治的責任を担い、農村振興をさらに強力に推進しなければならない。

 ●「河北省阜平県で貧困扶助・開発活動を視察した際の談話」は2012年12月29日と30日、習近平総書記が行った談話である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 貧困の撲滅、国民生活の改善、共同富裕の実現は、社会主義の本質的要求である。小康社会の全面的完成において、最も困難で最も繁雑で荷が重い任務は、依然として農村、特に貧困地域にある。農村、特に貧困地域で小康社会を実現しない限り、小康社会の全面的完成にはならない。貧困扶助・開発活動を深く推進し、貧困脱却の堅塁攻略戦に打ち勝つためには、一つは確固たる自信を持つことであり、もう一つは正しい道を探すことである。貧困扶助・開発活動をしっかりと行い、貧困農民が貧困を脱却して豊かになることを支え、彼らが困難を克服することを助け、発展の成果がより多く、より公平に全人民に行き渡ることは、わが党が誠心誠意人民に奉仕するという根本的宗旨を堅持する重要な現れであり、党と政府の重要な職責でもある。農村の発展、農民生活の繁栄に関するカギは、党支部にある。政策をありのままに実行しなければならない。状況をはっきり把握しなければならない。党支部をしっかりと建設しなければならない。団結をしっかりと固めなければならない。各級の指導幹部、特に貧困問題が顕著な地域にいる各級の党と政府の主要責任者は指導者としての役割を真剣に履行し、広域特殊困難地区の指導者の活動を貧困扶助・開発活動に重点を置かなければならない。「三農」政策は最重要な政策であり、旧革命根拠地、少数民族地区、辺境地区、貧困地区は「三農」政策の中で貧困扶助・開発活動を重点中の重点とし、このようにしてこそ重点がある。

 ●「新型工業化、情報化、都市化、農業現代化の同時発展を推進する」は2013年9月から2021年8月にかけての習近平総書記の原稿から抜粋した関連内容である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 新型工業化、情報化、都市化、農業現代化の同時発展を推進することは、現代化建設の全局に関わる大きな戦略的課題である。農業現代化歩調の加速に着目し、食糧と重要農産物の生産量を安定させ、国家の食糧安全と重要農産物の有効な供給を保障すると共に、農業発展方式の転換を加速し、農業技術革新の歩調を加速し、集約的・効率的・安全的・持続的な現代農業発展の道を歩まなければならない。われわれは、社会主義現代化国家を全面的に建設するには、繁華な都市と繁栄な農村の両方を建設し、工業と農業が互いに促進し合い、都市と農村が互いに補完し合い、協調的に発展し、共に繁栄するという新型工業・農業・都市・農村関係の形成を推進しなければならない。これは、中国共産党の指導とわが国の社会主義制度の下でしか実現できないことである。

 ●「農民の所得増加が農業・農村活動のカギになる」は2013年11月から2021年8月にかけての習近平総書記の原稿から抜粋した関連内容である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農村活動に関する効果検証の重要な基準の一つは、農民のお財布が膨らんでいるかどうか(農民の暮らしが豊かになったかどうか)ということである。現代農業の発展、農業経済の向上、出稼ぎ労働者の技能向上、農業支援政策の強化、基本的な公共サービスの拡大、農民の市場進出の組織化程度の改善など、多方面から農民の所得を増やすべきである。より多くの農民が自分の努力によって豊かになるためには、農村振興を全面的に推進し、農業産業化を加速し、農村資産を活性化し、農民の財産収入を増やす必要がある。

 ●「中国の特色ある農業現代化の道を歩むことは、重大な問題の動きを見据えるべきである」は2013年11月28日、習近平総書記が山東省を視察する際に行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 「三農」問題の解決は、党全体の最重要な課題であり、いつでも動揺せず、長期的に堅持しなければならない。国家の食糧安全と主要農産物の有効な供給を保障することは、農業発展にとって最も重要な任務である。農業の根本的な活路は、現代化と総合的な生産能力の継続的な向上にある。わが国の国情は、現代農業を発展させるには中国の特色ある農業現代化の道を歩まなければならないことを決定した。これは、根本的な大事件である。強い問題意識を持ち、重大な問題の動きを見据え、深く研究・実践をしなければならない。どのように作付けするかという問題を解決することを目標とし、新しい農業経営システムの構築を加速しなければならない。農地不足と水不足の資源・環境制約を緩和することを目標とし、農業発展方式の転換を深く推進しなければならない。安全に美味しく食べることを目標とし、高品質で安全な農産物を強力に発展させなければならない。

 ●「国家食糧安全戦略を実施し、自分の手でご飯茶碗を持つ」は2013年12月10日、習近平総書記が中央経済工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 わが国は人口が多い大国であり、食事問題をしっかり解決することは、常に国政運営における最も重要な課題である。自国を主体とし、国内に立脚し、生産能力を確保し、適度に輸入し、科学技術に支えられた国家食糧安全戦略を実施しなければならない。自分たちが必要な分の粮食を自分で確保し、国内資源を重点作物に集中的に使い、穀物の基本的な自給と食糧の絶対的な安全を確保し、ご飯茶碗を自分の手でしっかりと持たなければならない。量と質がいずれも重んじることを堅持し、量の供給を保障すると同時に、農産物の品質と食品の安全を一層重視し、生産源の管理と生産・販売全過程の監督・管理を重視し、人々が十分に食べて、おいしく食べて、安心して食べられるようにしなければならない。

 ●「農業移転人口の市民化を推進する」は2013年12月12日、習近平総書記が中央城鎮化工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 人の問題をうまく解決することは、新型都市化を推進するカギであり、都市化の最も基本的な趨勢は農村の余剰労働力と農村人口の都市への移転である。わが国の都市化の発展要請から見れば、都市に移り住んだ農村人口の都市戸籍取得問題を解決することは重要な任務になる。人々が都市に定住するためには、都市資源の賦存量に基づいてさまざまな特色ある都市産業システムを育成し、発展させ、都市間の専門的分業と連携を強化し、中小都市の産業の受容能力を高め、特にサービス業の割合を高め、都市のイノベーション能力を高め、良好な雇用と生活の環境を作るよう努力しなければならない。中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議の精神に基づき、「建制鎮」と小都市の戸籍取得制限を全面的に解除し、中等都市の戸籍取得制限を徐々に解除し、大都市の戸籍取得条件を合理的に確定し、特大都市の人口規模を厳格的に管理しなければならない。農業移転人口の市民化を推進するためには、自発的・分類的・秩序立つという原則を堅持しなければならない。現代化の本質は人の現代化であり、農民を真に市民化し、その素質を継続的に高めるには、長期的な取り組みが必要であり、一挙に成し遂げることはできない。人口都市化問題では、われわれは十分な「歴史的忍耐力」を持っていなければならない。

 ●「耕地レッドラインを絶対に守る」は2013年12月12日、習近平総書記が中央城鎮化工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 工業化、都市化と農業現代化の関係を適切に処理しなければならない。工業化と都市化には土地が必要で、農業現代化には土地の数量と品質を保証しなければならない。実際の状況を考慮して、工業用地を減らし、生活用地、特に住宅用地を適切に増やし、耕地、園地、野菜畑等の農業空間を確実に保護し、生態レッドラインを引く必要がある。土地制度の改革は一髪で全身を動かし、譲れない一線を守り抜き、テストケースを先行させるという原則に基づいて着実に推し進めなければならない。土地公有制の性格を変えてはならず、耕地レッドラインを動かしてはならず、農民の利益を損なってはならず、これらのことを前提にして、秩序立って模索することができる。

 ●「大衆のために「鳥がさえずり、花が香る」田園風景を残していく」は2013年12月から2021年8月にかけての習近平総書記の原稿から抜粋した関連内容である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農村文明は中華民族文明史の主体であり、村はこの文明の担い手であり、半分農耕半分読書の文明はわれわれのソフトパワーである。都市・農村一体化発展は、村の原風景を保存し、木の伐採に注意し、湖を埋めず、住宅解体を控えるうえで、できる限り村の原風景の上で住民の生活環境を改善するべきである。農村環境は米袋(食糧の供給)、買い物かご(副食品の供給)、コップ(飲料水の供給)、都市の裏庭に直接に影響する。農業・農村汚染対策の堅塁攻略戦を断固として戦い抜き、農村の生活環境の整備を深く展開し、ごみ・汚水対策、トイレ革命、村の外観の改善に重要に取り組み、地域の状況に適応して、事実に基づいて真実を求め、社会主義新農村を一層美しく住みやすく建設し、澄んだ水と緑の山を残し、郷愁を覚えなければならない。

 ●「中央農村工作会議での演説」は2013年12月23日、習近平総書記が行った演説である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 中国が強くなるには、農業が強くなければならない。中国が美しくなるには、農村が美しくなければならない。中国が豊かになるには、農民が豊かにならなければならない。農業の基礎が堅固で、農村が調和・安定で、農民が安居樂業してこそ、全体の大局は保障され、各政策は比較的に主動性を持つことになるのである。工業が逆に農業を養い、都市が農村を支え、多く与え少なく取り活性化を図るという方針を堅持し、「強農・恵農・富農(農業・農村を強化し、農民に実益をもたらし、農民を豊かにすること)」政策に力を入れ、「三農」政策にしっかり取り組まなければならない。農業・農村の活動に取り組むには、まず食糧生産に力を入れることが大切である。農村基本経営制度は党の農村政策の基盤である。党の農村政策を堅持するには、何よりも農村基本経営制度を堅持することである。農民による農村土地の集団所有を堅持し、家庭経営の基礎的地位を堅持し、土地請負関係を安定させることを堅持しなければならない。農産物の品質安全は農業発展方式を転換し、現代農業建設を加速させる重要な一環として、根源からのガバナンスと個別対策・根本的解決を堅持し、最も厳しい基準、最も厳しい監督・管理、最も厳しい罰則、最も厳しい責任追及をもって、大衆の「舌先の上の安全」を確保しなければならない。「誰が作付けするか」の核心は、人の問題を解決することであり、農民の暮らしを豊かにし、農民の生活水準を高め、農民を支援することを通じて、農業経営を効率化し、農業を有望な産業とし、農民をまともな職業にし、農村を安居樂業の美しい故郷とすることである。農業社会の管理を強化・革新するには、農村民生の保障・改善を優先的な方向とし、系統的なガバナンス、法に基づくガバナンス、総合的なガバナンス、根源からのガバナンスの理念を確立し、広範な農民が安居樂業し、農村社会が安定し、秩序立つことを確保しなければならない。

 ●「人々の暮らしが豊かになることは、わが党の終始一貫した初心と使命である」は2014年4月から2021年9月にかけての習近平総書記の原稿から抜粋した関連内容である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 中国共産党が人民大衆の擁護と支持を勝ち取ったのは、わが党が一貫して中国人民の幸福を求め、中華民族の復興を求める初心と使命を守り抜いてきたからである。人民は江山(政権)である。人民の暮らしが豊かになるために、共産党が江山を勝ち取り、江山を守るのは、人民の心を守るということである。いつでも農業を無視したり、農民を忘れたり、農村に無関心になったりしてはいけない。世代から世代へと働きかけ、貧困を脱却して豊かになることを加速するだけではなく、農村の全面的振興と現代化を推進しなければならない。

 ●「耕地による食糧備蓄、技術による食糧備蓄」は2014年5月から2022年4月にかけての習近平総書記の原稿から抜粋した関連内容である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 食糧生産について、基盤は耕地にあり、命の綱は水利にあり、活路は科学技術にあり、動力は政策にあり、これらの重要なポイントの実行と効果にしっかりと取り組まなければならない。耕地レッドラインをしっかりと守り、責任を確実に固め、問題が発生すればその責任を速やかに追及し、生涯にわたって責任を追及するべきである。耕地、特に基本農地の保護を踏まえて、高水準の農地建設を大規模に展開し、農地水利の建設や農業機械操業の関連施設に対する支援が強化され、農業の資材と技術設備の水準を高める必要がある。農業科学技術の自立・自強を堅持し、種子をうまく育成することから着手し、優良品種技術の難関突破を強化し、中国産の種子によって中国の食糧安全を保障しなければならない。食糧安全政策を研究・完備し、生産能力の建設を基盤とし、「耕地による食糧備蓄、技術による食糧備蓄(耕地利用方式の調整や技術改良による食糧生産の保障にすること)」ということを実現していく。

 ●「農村土地制度の改革を深化させるには、農業問題と農民問題を解決する必要がある」は2014年9月29日、習近平総書記が中央委員会改革全面深化指導グループ第5回会議において行った演説の要旨の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 現段階では、農村土地制度の改革を深化させるために、中国の農業現代化問題の推進をさらに考慮し、農村問題と農民問題を解決し、中国の特色ある農業現代化の道を歩まなければならない。農村土地の集団所有の堅持を前提として、請負権と経営権の分離を促し、所有権、請負権、経営権の「三権分置」、経営権の譲渡というパターンを形成しなければならない。農民の意向を尊重し、法に基づいて自発的に有償で土地経営権の譲渡を堅持しなければならない。農民が適度な規模の土地管理経営の積極的な参加者と真の受益者になることを望んでいる。

 ●「農業発展方式の転換を加速する」は2014年12月9日、習近平総書記が中央経済工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 価格の「天井(最高値)」、コストの「床(最安値)」の削減と補助金の「イエローライン」、資源・環境の「赤信号」の制約は、今後の農業発展にとって重要なボトルネックになると思われる。そのボトルネックの唯一の解決策は、農業発展方式の転換を揺るぎなく加速し、「高生産・高効率、製品の安全性、資源の節約、環境に優しい」という現代農業発展の道を歩むことである。農業構造はどの方向に進んでいるのだろう。市場の需要は誘導灯であり、資源の賦存量はロケータである。市場の需給と地域の比較優位に基づいて、市場で供給が不足している製品に向けて調整し、高品質で特色ある製品に向けて調整し、育種・飼育・加工・販売の全産業チェーンに向けて調整し、農業の多機能化・高付加価値化の空間を広げる必要がある。農業発展方式の転換は、決して食糧生産の緩和を意味するものではなく、農業の総合的な生産能力を弱めてはいけない。

 ●「焦裕禄同志のような県党委員会書記になる」は2015年1月12日、習近平総書記が中央党校県党書記研修会の研修生向けセミナーにおいて行った演説である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 わが党の組織構造と国家の権力構造において、県レベルは上級機関と下級機関がうまく連携してつながる重要な位置にあり、経済の発展、民生の保障、安定の維持、国家の長期的安定を促進する重要な基盤である。県党委員会は、わが党が執政と国政の「前線指揮」であり、県党書記は「前線総司令」である。焦裕禄同志は県党委員会書記に模範を示した。立派な県党委員会書記になるには、常に心に党があり、心に民があり、心に責任があり、心に戒めがあるようにしなければならない。

 ●「都市・農村の一体化した発展の新しい枠組みの形成に努める」は2015年4月30日、習近平総書記が中国共産党第18期中央政治局第22回集団学習会を主宰した際に行った演説の要旨である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 都市・農村の一体化した発展の推進は、工業化、都市化、農業現代化を一定の段階まで進めるための必然的な要請であり、国家現代化を象徴する重要な標識である。国情から出発することを堅持し、工業と農業、都市と農村を一体化して統一的に計画し、計画の配置、要素の配置、産業の発展、公共サービス、生態保護などの分野において、都市・農村が相互融合と共同発展を推進しなければならない。

 ●「中央貧困扶助開発会議における演説」は2015年11月27日、習近平総書記が行った演説である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 貧困脱却の堅塁攻略戦は、すでに「硬い骨のような難題にかじりつき、難関を攻め落とす」のラストスパート期に入って、一層大きな決意、一層明確な構想、一層正確な対策、並外れた努力によって、貧困脱却の堅塁攻略の目標をみんなで心を合わせて実現しなければならない。的確な貧困対策、的確な貧困脱却措置を堅持し、貧困脱却の堅塁攻略戦の効果を向上させ、「誰を貧困から脱却するか」「誰が貧困脱却を実行するか」「どうやって貧困脱却するか」「どうやって退くか」という問題をしっかりと解決することが重要である。2020年までにすべての貧困地域と貧困人口が共に全面的小康社会に入るために、「愚公山を移す」の意志を立て、目標を定め、着実に取り組み、貧困脱却の堅塁攻略戦に断固として勝利を収めなければならない。

 ●「農村改革座談会における演説」は2016年4月25日、習近平総書記が行った演説である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農業・農村の発展が抱えるさまざまな矛盾や問題を解決するためには、根本的に改革の深化に頼らなければならない。新しい情勢の下で、農村改革を深化させる主な路線は依然として、農民と土地の関係をうまく処理することである。最大の政策は、農村基本経営制度を決して揺るがなく堅持・完備しなければならないことである。土地請負経営権の登記制度の確立は、土地請負関係の安定を実現する保証であり、この活動にしっかりと取り組み、本当に農民に安心させなければならない。農村集団財産の権利確認と株式協同制の制度改革を推し進め、新型農業経営体系の構築を加速し、購買販売協同組合の全面的改革を推進し、農業支援・保護制度を健全化し、農業移転人口の市民化の秩序立った実現を推進し、都市・農村の一体化した体制・仕組みを健全化することに力を尽くさなければならない。農村の発展を加速させるには、現代農業の発展、農民の所得向上、社会主義新農村の建設という三大任務にしっかりと取り組まなければならない。党が農村活動を治めるのは、われわれの伝統であり、その伝統を失うわけにはいけない。

 ●「農業の供給側構造改革を深く推進する」は2016年12月14日、習近平総書記が中央経済工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農業の供給側構造改革を深く推進することは、供給側の構造改革の重要な部分である。総量の不足から構造的矛盾への段階的変化に適応し、体制・仕組みを革新し、科学技術の進歩を推進し、農業産業体系、生産体系、経営体系を最適化し、農業の品質・効率の向上、持続可能な発展への転換を加速させるべきである。グリーンで高品質な農産物を増やすことを際立った位置に置き、農業供給政策を最適化し、食糧等の重要農産物の価格形成メカニズムと貯蔵システムを積極的かつ着実に改革し、農村財産権制度の改革を深化させ、清算と資産調査を行い、農村集団財産権の帰属を明らかにし、農民にさらに十分な財産権を与えなければならない。

 ●「農村振興戦略を実施する」は2017年10月18日、習近平総書記が中国共産党第19回全国代表大会において行った報告の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農業・農村の優先発展を堅持し、「産業が繁栄、環境が快適、気風が文明的、統治が効果的、生活が豊か」という全般的要請に基づいて、都市・農村融合発展の体制・仕組みと政策体系を確立して充実させ、農業・農村の現代化推進を加速する必要がある。土地請負関係の安定と長期不変を維持し、2期目の土地請負契約の終了後にさらに30年延長させる。農村末端の基礎活動を強化し、自治・法治・徳治が相互に結び付いた農村統治体系を十全化しなければならない。

 ●「農村末端組織の建設の質を高め、農村のガバナンス体系を健全化する」は2017年12月から2022年3月にかけての習近平総書記の原稿から抜粋した関連内容である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農村末端の党組織は、農村の各組織と活動の指導的核心であり、農村末端の党組織の機能を強化し、農村末端の党組織を党の思想を宣伝し、党の決定を貫徹し、末端のガバナンスをけん引し、大衆を団結させ動員し、改革発展の強力な砦に作り上げ、農村の全面的な振興に政治と組織の強い保障を提供する必要がある。新しい情勢を結びつけて、「楓橋経験」を推進し、農民の思想と道徳の教育を重視し、法治建設を重視し、農村のガバナンス体系を健全化し、農民の自治的な実践を深化させ、「村規民約」、家庭教育・家風の役割を効果的に発揮させ、「文明的な気風、良好な家風、純朴な民風」を育成し、農村の経済、農村の法治、農村の文化、農村の管理、農村の環境、農村の党建設の全面的な強化を推進しなければならない。

 ●「中華民族の偉大な復興の「三農」の新たな一章を書き上げる」は2017年12月28日、習近平総書記が中央農村工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農村振興戦略の実施は党と国家事業の全局から出発し、「二つの百年」という奮闘目標の実現に着目し、億万人の農民の素晴らしい生活への憧れに応えるために重要な方針を行った。農村振興戦略を実施するための基礎と条件は、わが国の主要な社会矛盾の解決から出発し、明確な目標志向があり、党の使命によって決定され、全世界の農村問題を解決するために中国の知恵と中国の方案を提供するものである。

 ●「中国の特色ある社会主義農村振興の道を歩む」は2017年12月28日、習近平総書記が中央農村工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農村振興戦略を実施するには、「産業が繁栄、環境が快適、気風が文明的、統治が効果的、生活が豊か」という全般的要請に基づいて、都市と農村の関係を再構築し、都市部・農村部融合発展の道を歩まなければならない。農村基本経営制度を強固にし、充実させ、共同富裕の道を歩まなければならない。農業供給側の構造改革を深化させ、質の面での農業振興の道を歩まなければならない。人と自然の調和的共生を堅持し、農村のグリーン発展の道を歩まなければならない。農耕文明を伝承し、発展させ、そしてグレードアップし、農村の文化的繁栄の道を歩まなければならない。農村のガバナンスシステムを革新し、農村をうまくガバナンスする道を歩まなければならない。貧困脱却の堅塁攻略戦をしっかり戦い、中国の特色ある貧困減少の道を歩まなければならない。

 ●「「三農」活動に対する党の指導を強化し、改善する」は2017年12月28日、習近平総書記が中央農村工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農村の活動をうまく行い、農村振興を実現するというカギは、党にある。党の「方向をとらえ、大局を謀り、政策を定め、改革を促す」の能力と根気を高め、党が一貫して全局を統括し、各方面を調和させられ、新時代の農村活動を全面的に指導する党の能力と水準を高めなければならない。党委員会が全面的かつ統一的に指導し、政府が責任を持ち、党委員会農村活動の関連部門が統一的に調整するという農村活動指導体制を健全化しなければならない。農村の改革を深化させ、農村資源を活性化させ、数多くの農民の積極性と創造性を発揮させ、社会全体が「農民を支援し、農民を助け、農業を振興する」という力を結集させなければならない。投資保障制度を健全化し、財政を優先的に保障し、金融に重点を置き、社会が積極的に参加するという多様な投資構造の形成を加速させるべきである。科学的に計画し、品質を重視し、無理せずに建設し、計画の先見性、制約性、指導性、操作性を強化しなければならない。

 ●「農村の産業の振興、人材の振興、文化の振興、生態環境の振興、組織の振興を推進する」は2018年3月8日、習近平総書記が第13期全国人民代表大会第1回会議山東省代表団の審議に出席した際に行った演説の要旨の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農村振興戦略を実施するには、統一的に計画し、科学的に推進しなければならない。農村産業の振興を推進し、産業の繁栄を実現し、農村の暮らしが豊かになることを推進しなければならない。農村人材の振興を推進し、農村人材の振興に対する支援を強化し、強大な農村振興の人材チームを構築する。農村文化の振興を推進し、農村社会文明の水準を高め、農村文明の新たな気風をかき立てる。農村生態環境の振興を推進し、グリーン発展を堅持し、良好な生態環境を農村振興のサポートポイントにする。農村組織の振興を推進し、現代農村社会のガバナンスシステムを確立し、健全化し、活力にあふれて秩序立った農村社会を実現する。

 ●「農村振興戦略の文章をうまく作成する」は2018年9月21日、習近平総書記が中国共産党第19期中央政治局第8回集団学習会を主宰した際に行った演説の主要部分である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 農業・農村の現代化がなければ、国全体の現代化はありえない。農村振興戦略の実施は、社会主義現代化国家の全面的な建設に関わる全体的かつ歴史的な任務である。農業現代化と農村現代化の一体的設計と一体的推進を堅持し、農業大国から農業強国への飛躍を実現しなければならない。農村振興戦略を実施するには、まずは規則を守ることが大切である。 各級の党委員会と党組織は指導力を強化し、全党と社会の各方面からの強大な力を結集し、農村振興戦略の政治的方向をしっかりととらえ、長期目標と短期目標、トップレベルの設計と末端の探索、市場の決定的な役割を十分に発揮させることと政府の役割をより良く発揮させること、大衆の獲得感を高めることと発展段階に適応することの関係をうまく処理し、農業の全面的なグレードアップ、農村の全面的な進歩、農民の全面的な発展を促進しなければならない。

 ●「大規模な貧困への逆戻りを防止する最低ラインを断固として守り、引き続き全面的な貧困脱却と農村振興の効果的な連携を推進する」は2019年3月から2022年1月にかけての習近平総書記の原稿から抜粋した関連内容である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 貧困への逆戻りを防止する監視と支援制度の仕組みを健全化し、充実させ、「四つの免除されない事項」を実行し、全面的な貧困脱却と農村振興の効果的な連携を引き続き推進し、発展の内生的原動力と発展の活力を重点的に強化しなければならない。低所得者生活保障、医療保険、医療扶助等に関連する支援と保護措置の改善を加速し、制度・仕組みで貧困層が本当の貧困脱却、安定した貧困脱却を保障する。貧困者支援産業を発展させるには、産業チェーンを延長し、リスク耐性を高め、さらに安定した連結利益メカニズムを確立し、貧困層の持続的で安定した収入を確保する必要がある。貧困救済のための居住地移転の後続支援をしっかりと行い、移住した人々が定着し、就職でき、収入を得て、より良い日々を送れるよう努力しなければならない。

 ●「リスクや挑戦に直面している今こそ、農業を安定させ、食糧と重要な副食物の安全保障を確保しなければならない」は2020年2月24日、習近平総書記が全国春季農業生産活動について出した指示である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 各級の党委員会は、「三農」活動を最も重要な位置に置き、小康社会の全面的完成と貧困脱却の堅塁攻略戦の重点任務を統括して着実に実施し、農業基盤をさらに強固にし、「三農」分野の弱みを一層着実に補強し、新型コロナウイルス感染症との闘いに勝利し、今年の経済・社会の発展目標と任務を実現するために力強い支持を提供しなければならない。

 ●「農業・農村現代化の実現は、社会主義現代化国家を全面的に建設する重要な任務である」は2020年10月29日、習近平総書記が中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議の第2回全体会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 都市・農村の経済循環は国内の大循環の重要な側面であり、国内・国際の2つの循環の割合を健全的に保つための重要な要素でもある。農業・農村現代化の実現は、社会主義現代化国家を全面的に建設する重大な任務であり、不均衡・不十分な発展の問題を解決するための必然的な要請である。食糧等の重要農産物の供給を保障することは、「三農」政策の最重要な課題である。農業供給側の構造改革の推進を堅持し、穀物の基本的な自給、食糧の絶対的安全を確保し、自分の手でご飯茶碗を持つことを確保しなければならない。

 ●「食糧安全保障のカギは種子と耕地である」は2020年12月16日、習近平総書記が中央経済工作会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 食糧安全を保障するには、「耕地による食糧備蓄、技術による食糧備蓄」がカギであり、種子と耕地が肝心である。種子資源を国家安全保障に関わる戦略的レベルに引き上げ、種子遺伝資源の保護と利用を強化し、種子バンクの建設を強化しなければならない。バイオ育種の産業化応用を秩序立てて推進しなければならない。種子資源のボトルネック技術の堅塁攻略戦を展開しなければならない。18億ムー(1.2億ha)の耕地レッドラインをしっかりと守り、耕地の「非農業化」に断固として歯止めをかけ、「非食糧化」を防止しなければならない。耕地の占用・補充のバランスを規範化し、国家食糧安全産業ベルトを建設し、高水準の農地・水田建設を強化し、農地・水田の水利建設を強化し、「国家黒土保護プロジェクト」を実施し、農業面での汚染対策を強化しなければならない。

 ●「全国貧困脱却堅塁攻略総括表彰大会での演説」は2021年2月25日、習近平総書記が行った演説である。演説は、わが国の貧困脱却堅塁攻略戦が全面的な勝利を収め、地域的な全体的な貧困が解決され、絶対的貧困の根絶という極めて困難な任務を達成し、もう一つの歴史に輝く奇跡が生まれたと厳粛に宣言した。演説では、貧困脱却の難堅塁攻略の偉大な成果を全面的に肯定し、貧困脱却の堅塁攻略の輝かしい歴史と貴重な経験を深刻にまとめ、貧困脱却の堅塁攻略の偉大な闘争が鍛え上げた「上下一心、力戦奮闘、精確的かつ実用的、先駆的かつ革新的、堅塁を攻略し、人民の期待を裏切らない」という貧困脱却の堅塁攻略の精神を深く述べた。その中で、総書記は次のように指摘している。

 貧困脱却と貧困の呼び名を取り去ることは終わりではなく、むしろ新しい暮らしと新しい闘いの出発点なのである。貧困脱却の堅塁攻略の成果と農村振興との効果的な連携を着実に固め、貧困脱却の基礎を一層強固にし、効果を一層持続可能なものにしなければならない。また、次のように強調した。農村振興は中華民族の偉大な復興を実現する重要な任務である。一層強力な対策を講じ、一層強力な力を結集し、農業・農村現代化の歩調を加速させ、農業が高効率で質が高く、農村が住みやすく、農民が豊かになることを促進しなければならない。

 ●「国家戦略の要求に着目し、農業の基盤を安定させる」は2021年12月、習近平総書記が中国共産党第19期中央政治局常務委員会における「三農」政策を特別に研究した際に行った演説の要旨である。次のように強調した。

 さまざまなリスクと挑戦に対応するには、国家戦略の要求に着目し、農業の基盤を安定させ、「三農」政策をしっかりと行い、措置が強硬にし、実行力が強くし、安定した生産と供給を確保し、農業・農村の安定した発展を確保しなければならない。

 ●「食糧安全は「国之大者」である」は2022年3月6日、習近平総書記が中国人民政治協商会議第13期全国委員会第5回会議の農業・社会福祉・社会保障分野での合同会議において行った演説の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。

 食糧安全は「国之大者」(党と国家の前途命運、中華民族の偉大な復興、人民の幸福と安寧、社会の長期的安定等に関わる、国家にとって大事なもの)である。悠々たること、食事が一番大事である。わが国が社会の安定、人心の安定を実現できるのは、われわれの手に食糧があり、心が慌てないことが非常に重要な理由の一つである。農村振興戦略を実施するには、重要農産物、特に食糧供給の確保を最も重要な任務とし、農業の総合的な生産能力の向上を一層重視し、「耕地による食糧備蓄、技術による食糧備蓄」を真に徹底させなければならない。前もって計画し、常に食糧安全という弦を張り続け、常に自国を主体とし、国内に立脚し、生産能力を確保し、適度に輸入し、科学技術に支えられたという国家食糧安全戦略を堅持しなければならない。

 (新華社北京6月6日電)

 (出典:「人民日報」2022年6月7日2面)