収録文章の概要
中共中央党史・文献研究院が編集した、習近平総書記著『新たな発展段階の把握・新たな発展理念の貫徹・新たな発展の形の構築について』には、総書記による2012年11月15日から2021年4月30日までの新たな発展段階の把握・新たな発展理念の貫徹・新たな発展の形の構築に関する重要原稿72篇が収録されている。以下はこの特別テーマ文集にある主要な文章の概要である。
●「新たな発展段階において新たな発展理念を貫徹するには、新たな発展の形の構築が必然的に求められる」は2020年10月29日、総書記が中国共産党第19期5中全会第2回全体会議で行った講話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新たな発展段階とは、社会主義現代化国家を全面的に建設し、二つ目の百周年の奮闘目標に向けて邁進する段階である。新たな発展段階に入ったことは中華民族の偉大な復興という歴史的過程における大きな飛躍である。国内大循環を基軸に置きつつ国内・国際の双循環が互いに促進し合う新たな発展の形を構築することは、わが国の発展段階・環境・条件の変化、とりわけわが国の比較優位の変化を踏まえ、時勢を勘案して行った重要な政策決定であり、全局にかかわる系統的で根本的な変革であり、現状に立脚し、未来に目を向けた戦略的計画である。整った内需システムの育成を急ぎ、科学技術の自立自強を加速し、産業チェーン・サプライチェーンの最適化・高度化を推し進め、農業・農村の現代化を促進するとともに、人民の生活水準を向上させ、発展の安全保障という最低ラインをしっかりと守る必要がある。そのうえ、わが国の現代化は巨大な人口規模のもとでの現代化であり、全人民の共同富裕を目指す現代化であり、物質的文明と精神的文明が調和する現代化であり、人と自然が共生する現代化であり、平和的発展の道を歩む現代化であると強調した。
●「経済活動は経済発展の新常態に適応する必要がある」は2014年12月9日、総書記が中央経済運営活動会議で行った講話の一部である。
講話では、消費の需要、投資の需要、輸出と国際収支、生産能力と産業の組織形態、生産要素の比較優位、市場競争の特徴、資源・環境面の制約、経済リスクの累積と解消、資源配分のパターンとマクロコントロールの方式という九つの面から、わが国経済発展の新常態にともなう趨勢的な変化を分析し、さらに、次のように指摘している。わが国の経済発展は新常態に入ったがこれは、わが国経済発展の段階的特徴が必然的に反映されたものであり、人の意志によるものではない。新常態であることを認識し、新常態に適応し、新常態を導いていくことは、当面のわが国経済発展の大きな論理である。
●「新たな発展理念により発展をリードし、小康社会の全面的完成の決勝段階における偉大な勝利をかち取る」は2015年10月29日、総書記が中国共産党第18期5中全会第2回全体会議において行った講話の主旨である。その中で、総書記は次のように強調している。
理念は行動を方向付ける。発展理念は戦略的・綱領的・先導的なものであり、発展に関する構想や発展の方向性、取り組みの重点を集中的に示している。革新・調和・グリーン・開放・共有という五つの発展理念は、われわれが国内・外国の発展の経験や教訓を深く総括した上で確立したものであり、国内外の発展の大勢を深く分析した上で確立したものでもある。それは経済社会の発展法則に対するわが党の認識の深化を集中的に示し、わが国の発展における際立った矛盾や課題を念頭にうち出されたものでもある。革新型発展の着眼点は発展の原動力の問題、調和型発展は発展の不均衡の問題、グリーン型発展は人と自然の両立の問題、開放型発展は発展の内外連携の問題、共有型発展は社会の公平と正義の問題をいかに解決するかにある。この五つの発展形態を堅持することは、わが国発展の全局にかかわる抜本的な変革である。
●「新たな発展理念を貫徹し、供給側構造改革を重点的に強化する」は2015年11月10日、総書記が中央経済財政指導グループ第11回会議で行った講話の要旨である。その中で、総書記は次のように指摘している。
われわれは、革新・調和・グリーン・開放・共有の発展理念をしっかりと確立・貫徹し、経済発展の新常態に適応し、安定を保ちつつ前進を求めることを堅持して、マクロ政策による経済の安定化、産業政策による的確な方向付け、ミクロ政策による市場の活性化、改革政策による改革の徹底、社会政策による民生最低ラインの保障に向けた政策を総動員し、総需要を適度に拡大するとともに、供給側構造改革の強化と供給システムの質的・効率的向上に力を入れ、わが国の社会的生産力の水準の全般的飛躍を推し進めていかなければならない。
●「現代中国のマルクス主義政治経済学の新たな境地を不断に切り開いていく」は2015年11月23日、総書記が中国共産党第18期中央政治局第28回集団学習会を主催した際に行った講話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
わが国の国情とわれわれの発展の実践に立脚し、世界経済とわが国の経済の直面している新たな状況や問題を深く検討し、新たな特徴と新たな法則を明らかにし、わが国経済発展の実践における法則性のある成果を集約・総括した上で、実践の経験を系統的な経済学説に昇華させ、現代中国のマルクス主義政治経済学の新たな境地を不断に切り開いていく必要がある。また、人民を中心とする発展思想を堅持し、新たな発展理念を堅持するとともに、社会主義の基本的経済制度と社会主義の基本的分配制度を堅持し充実させ、社会主義市場経済改革の方向性と対外開放の基本国策を堅持し、新たな理論的成果を絶えず生み出して、マルクス主義政治経済学の刷新と発展に向けて中国の知恵で貢献していく必要がある。
●「革新・調和・グリーン・開放・共有の発展理念を深く学習し理解する」は2016年1月18日、総書記が18期5中全会の精神の学習・徹底をテーマとした省・部級主要指導幹部セミナーで行った談話である。
談話の中で、総書記は歴史と現実を視野に入れ、いくつかの重要な問題と結びつけて、理論やマクロの面から新たな発展理念について踏み込んで論じた。さらに、次のように指摘している。われわれは革新駆動型発展戦略の実施や、発展の全体性・調和性の強化、人と自然との調和的共生の推進、対外開放の新たな体制の構築、人民を中心とする発展思想の実践に力を入れなければならない。供給側構造改革は、社会的生産力を解放し発展させ、改革の方法により構造の調整を促し、無効な供給とローエンドの供給を減らして有効な供給とミドルレンジ・ハイエンドの供給を拡大し、需要の変化に合わせる供給構造の適応性と柔軟性を強化し、全要素生産性を高めることに重点を置くべきである。供給側構造改革を進めるには、生産者側から手を付けるが、取り組みの重点としては、過剰な生産能力の効果的な解消や、産業の再編・最適化の促進、企業のコストダウン、戦略的新興産業と現代サービス業の発展、公共財・サービスの供給拡大、需要の変化に合わせる供給構造の適応性と柔軟性の向上を図ることである。簡潔にいえば、「過剰生産能力の解消、過剰在庫の消化、過剰債務の縮減、コストの引き下げ、脆弱部分の補強」ということである。
●「第18回党大会以降経済運営における三つの重点的な取組」は2016年12月14日、総書記が中央経済運営活動会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
第18回党大会以降、われわれは積極的に「五位一体(経済建設・政治建設・文化建設・社会建設・生態文明建設)」の総体的配置を推進し、徐々に「四つの全面(小康社会の全面的完成、改革の全面的深化、全面的な法に基づく国家統治、全面的な厳しい党内統治)」の戦略的配置を形成し、経済発展の新常態に適応する経済政策の枠組みをひととおり構築した。それをまとめてみると、われわれは次の三つの重点的な取り組み――①経済の発展は新常態に入るという重要な判断、②新たな発展理念を導きとし供給側構造改革を主軸とする政策の枠組みの形成、③「安定を保ちつつ前進を求める」という活動全体の基調の徹底――を行ってきた。
●「人民を中心とする発展思想を堅持し、小康社会の全面的完成のプロセスを推進する」は2016年12月21日、総書記が中央経済財政指導グループ第14回会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
小康社会の全面的完成の内容を的確に把握することは、一つ目の百周年の奮闘目標を達成する上で極めて重要である。「小康」とは、発展の水準が一定の基準に達したことを指すが、「全面的」とは発展の質を強調したものである。「小康社会の全面的完成」は単純な「数値」や「スピード」を競ったパフォーマンスではなく、物心両面にわたる正真正銘の目標である。経済成長を保つと同時に、いっそう重要なのは、人民を中心とする発展思想をしっかりと貫徹することである。
●「手を携えて『一帯一路』の建設を推し進める」は2017年5月14日、総書記が「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開幕式で行った演説である。
演説の中で総書記は、平和・協力、開放・包摂、相互学習・相互参考、互恵・ウインウインを核心とするシルクロード精神を深く論じた上で、「一帯一路」を平和のロード、繁栄のロード、開放のロード、革新のロード、文明のロードへと築き上げるよう呼びかけた。さらに、われわれはこれから革新・調和・グリーン・開放・共有の発展理念をより一層貫き、世界の発展に新たなチャンスをもたらす「一帯一路」に強大な原動力を注いでいくと語った。
●「グリーン発展パターンとライフスタイルの確立推進は発展観における抜本的な革命である」は2017年5月26日、総書記が中国共産党第18期中央政治局第41回集団学習会を主催した際に行った講話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
グリーン発展パターンとライフスタイルの確立を推進することが新たな発展理念を貫徹する上での必然的な要請であるため、生態文明建設を全局にかかわる優先的な活動と位置付け、資源節約・環境保護の基本国策を堅持し、節約優先・保護優先・自然復元中心の方針を堅持して、資源節約・環境保護につながる空間構造・産業構造・生産様式・ライフスタイルを確立し、経済社会発展と生態環境保護の共同進歩の実現に努め、人民のために良好な生産・生活環境を築いていかなければならない。
●「新たな発展理念を貫徹し、現代化経済システムを構築する」は2017年10月18日、総書記が中国共産党第19回全国代表大会で行った報告の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
わが国の経済はすでに高速成長の段階から質の高い発展を目指す段階へと切り替わり、まさに発展パターンの転換、経済構造の最適化、成長の原動力の転換の難関攻略期にあるため、現代化経済システムの構築はこの難関を乗り越える上での差し迫った要請にしてわが国の発展戦略の目標となる。「質第一、効率優先」を堅持し、供給側構造改革を主軸として、経済発展の質・効率・原動力の変革を促し、全要素の生産性を高め、実体経済・科学技術革新・現代金融・人的資源の協同発展に向けた産業体系の整備加速に力を入れ、市場メカニズムが効果的に機能し、ミクロ経済主体の活力が引き出され、マクロコントロールが適度に行われる経済体制の構築に力を入れ、わが国経済の革新力と競争力を不断に高めていかなければならない。
●「新時代の中国の特色ある社会主義経済思想を長期的に堅持し、絶えず豊かに発展させていく」は2017年12月18日、総書記が中央経済運営活動会議で行った講話の一部である。会議は習近平の新時代の中国の特色ある社会主義経済思想を総括し、説明した。講話の中で、総書記は次のように指摘している。
第18回党大会以降、われわれはわが国経済発展の大局をうまく導き、新たな発展理念を柱とする新時代の中国の特色ある社会主義経済思想を形成した。すなわち、①経済活動に対する党の集中的・統一的指導を強化すること、②人民を中心とする発展思想を堅持すること、③あくまでも経済発展の新常態に適応し、それを捉えてリードすること、④資源配分において市場が決定的な役割を果たしつつ政府はその機能をよりよく発揮すること、⑤わが国経済発展の主要矛盾の変化に合わせて、マクロコントロールを改善すること、⑥問題意識を強化して経済発展の新たな戦略を立てること、⑦正しい活動計画や方法を堅持することである。
●「わが国の経済はすでに高速成長の段階から質の高い発展を目指す段階へと向かっている」は2017年12月18日、総書記が中央経済運営活動会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
高速成長の段階から質の高い発展を目指す段階へと向かっていることは、新時代におけるわが国経済発展の特徴である。質の高い発展とは、人民の日増しに増大するよりよい生活への需要をしっかりと満たすことができる発展であり、新たな発展理念を具現する発展であり、革新を第一の原動力とし、協調を内生的特色とし、グリーンを普遍的形態とし、開放を必ず通らなければならない道とし、共有を根本目的とする発展である。より明確に言うと、質の高い発展とは、発展の「量」から「質」へと切り替わることである。
●「中国の特色ある社会主義の農村振興の道を歩む」は2017年12月28日、総書記が中央農村活動会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
農村振興戦略を実施するには、◇「産業の興隆、快適な環境、文明的な気風、効果的な統治、豊かな生活」という全般的な要請に基づいて、都市・農村の関係を再構築し、都市と農村の融合した発展の道を歩むこと、◇農村の基本経営制度をうち固め改善して、共同富裕の道を歩むこと、◇農業の供給側構造改革を深化させ、質の向上による農村振興の道を歩むこと、◇人と自然の調和的共生を堅持し、農村のグリーン発展の道を歩むこと、◇農耕文化を受け継ぎ、発展させ、さらに高め、農村の文化振興の道を歩むこと、◇農村のガバナンス体系を刷新して、農村善治の道を歩むこと、◇的確な貧困脱却堅塁攻略戦をしっかりと進め、中国の特色ある貧困削減の道を歩むことに努めなければならない。
●「わが国の生態文明建設を新たな段階に押し上げる」は2018年5月18日、総書記が全国生態環境保護大会で行った講話である。大会は習近平の生態文明思想を総括し、説明した。講話の中で、総書記は次のように指摘している。
生態環境は党の使命と趣旨にかかわる重要な政治的問題であり、民生にかかわる重要な社会的問題でもある。新時代において生態文明建設を推進するには、以下の原則――①人と自然の調和的共生、②緑の山河は金山・銀山にほかならないという理念、③良好な生態環境はあまねく恩恵をもたらす最たる民生福祉であること、④山・川・林・田・湖・原は生命共同体であること、⑤最も厳格な制度と最も厳密な法治による生態環境の保護、⑥グローバルな生態文明建設の共同推進――をしっかりと堅持しなければならない。
●「世界の主要な科学センターとイノベーション拠点となるよう努める」は2018年5月28日、総書記が中国科学院第19回アカデミー会員大会と中国工程院第4回アカデミー会員大会の合同会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
中国は国家の繁栄・復興を実現するには、必ずや科学技術を大きく発展させ、世界の主要な科学センターとイノベーション拠点となるよう努めなければならない。わが国の広範な科学技術者は大勢をとらえて「先手」を取り、問題を直視しつつ難題に立ち向かい、世界の科学技術の最先端に照準を合わせるとともに、科学技術の発展の方向性を導き、歴史から与えられた重責をしっかりと担い、新時代における科学技術・イノベーションのフロントランナーとなるよう取り組んでいかなければならない。
●「革新・包摂を目指した開放型世界経済をともに構築する」は2018年11月15日、総書記が上海で開催された第1回中国国際輸入博覧会の開幕式で行った基調演説である。中国国際輸入博覧会はこれまでにない世界初の輸入をテーマとした国家レベルの博覧会であり、国際貿易発展史上初試みである。演説の中で、総書記は次のように指摘している。
中国国際輸入博覧会を開催することは、中国が新たなハイレベルの対外開放の推進に着目して行った重要な政策決定であり、自ら進んで世界に向けて市場を開放するための重要な措置であり、多国間貿易体制を支持し、自由貿易の発展を推進する中国の一貫した立場を示し、中国が開放型世界経済の構築を促し、経済のグローバリゼーションを支持するための実際的行動である。開放をより一層拡大するために、中国は輸入の潜在力の喚起や市場参入の持続的な規制緩和、国際的にトップレベルのビジネス環境の創出、対外開放の新たな拠点づくり、多国間・二国間協力のさらなる発展の推進などの面においていっそう力を入れていく。
●「供給側構造改革を主軸とすることを堅持する」は2018年12月19日、総書記が中央経済運営活動会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
供給側構造改革を深化させるには、改革措置をより多く講じ、市場化・法治化の手段をより多く活用したうえで、「堅固・増強・向上・円滑」化に力を入れる必要がある。この「八文字」の方針は、当面供給側構造改革を深化させ、経済の質の高い発展を推進する上での全般的な要請である。
●「互いの優位性による相互補完と質の高い発展に向けた地域経済の配置を推進する」は2019年8月26日、総書記が中央経済財政委員会第5回会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
第18回党大会以降、党中央は京津冀(北京市・天津市・河北省)協同発展、長江経済ベルト発展、「一帯一路」共同建設、粤港澳(広東・香港・澳門)大湾区建設、長江デルタ一体化発展など新たな地域的発展戦略をうち出した。さらに、われわれはさらに黄河流域の生態系保護や質の高い発展にかかわる課題について検討しようとしている。新しい情勢のもと、地域間の調和のとれた発展を促進するために、以下のように全般的構想を立てた。すなわち、客観的な経済法則に基づいて地域政策体系を見直し、充実させ、地域ごとの比較優位を発揮させ、各種生産要素の合理的な移動と高効率の集積を促し、革新・発展の推進力を強化し、質の高い発展につながる原動力システムの構築を加速するとともに、中心都市や都市群など経済発展の優位性のある地域の経済力と人口受容能力を向上させながら、その他の地域の食糧や生態、国境地帯の安全保障面の機能を強化し、互いの優位性の相互補完と質の高い発展に向けた地域経済の配置を進める、ということである。
●「新時代において経済社会の発展を推進するには揺るぐことなく新たな発展理念を貫徹しなければならない」は2019年12月10日、総書記が中央経済運営活動会議で行った談話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新たな発展理念は一つのまとまったものであり、その要請は経済指標というただ一つの項目だけでは決してなく、全方位にわたり、多層的なものである。これはわが国が新たな段階へ突入したことに伴い、わが国社会の主要矛盾に生じた変化を踏まえた必然的な要請である。新たな発展理念を常に貫くことができるかどうかは、各級の指導幹部が「四つの意識」を強化し、「四つの自信」をうち固め、「二つの擁護」をしっかりと実践しているかどうかをはかる上での試金石となる。
●「感染症対策と経済社会発展活動を統一的に推進することについて」は2020年2月23日、総書記が新型コロナウイルス感染対策と経済社会発展活動の統一的推進に関する行動計画策定会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新型コロナウイルスの感染拡大が経済社会にかなり大きな打撃を与えることは不可避である。こういう時こそ、全面的かつ弁証法的で長期的な視点に立ってわが国の発展を認識すべきである。われわれはこの圧力を原動力に変え、危機を好機に変え、秩序立てて生産・生活秩序を回復し、「六つの安定(雇用・金融・貿易・外資・投資・期待の安定)」の措置を強化し、政策による調節に力を入れ、わが国発展の大きな潜在力と強大なパワーを十分に引き出しさえすれば、今年度の経済社会発展の目標と任務を成し遂げることができるであろう。
●「国家の中長期的経済社会発展戦略に関する若干の重要問題」は2020年4月10日、総書記が中央経済財政委員会第7回会議で行った講話である。
講話の中で、総書記は国内大循環を主体に国内・国際の双循環が互いに促進し合う新たな発展の形を構築する方針を初めてうち出した。さらに、大国としての経済分野の優位性は国内循環の可能性にあると指摘している。そのため、われわれは内需拡大を戦略的基軸にしっかりと据え、生産・分配・流通・消費の各段階においてより大きく国内市場を拠り所にして経済の好循環を実現するとともに、供給側構造改革の戦略的方向性をはっきりさせ、総供給と総需要がより高い水準で動的均衡を実現するよう促す必要がある。
●「情勢を科学的に分析し、新たな発展の形を構築する」は2020年5月23日、総書記が第13期全国政治協商会議第3回会議の経済界部会委員合同会議で行った談話の要旨である。その中で、総書記は次のように指摘している。
国内需要を満たすことを発展の出発点と帰結点として、整った内需システムの構築を急ぎ、科学技術革新およびその他の分野での革新を大きく推進し、デジタル経済やインテリジェント製造、バイオ・健康、新素材など戦略的新興産業の発展推進を加速して、より多くの新たな成長分野と成長極を育成するとともに、生産・分配・流通・消費の各段階の円滑化に力を注ぎ、国内大循環を主体に国内・国際の双循環が互いに促進し合う新たな発展の形を構築していき、新しい情勢のもとでわが国が国際協力と国際競争に参加する上での新たな優位性を築き上げる必要がある。
●「中長期的な経済社会発展にかかわる重要な課題を正しく認識し把握する」は2020年8月24日、総書記が経済社会分野の専門家との座談会で行った談話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
第14次5ヵ年計画期は、わが国が小康社会の建設を全面的に完成し、「一つ目の百周年」の奮闘目標を達成した後、こうした弾みがつく中で社会主義現代化国家の全面的建設という新たな征途を歩みだし、「二つ目の百周年」の奮闘目標に向かってまい進する最初の5年間であるが、わが国は新たな発展の段階に入ることになる。われわれは弁証法的思考から新たな発展段階における新たなチャンスや課題を認識した上で、国民経済の循環の円滑化に軸足を置いて新たな発展の形を構築し、科学技術革新により新たな発展のための原動力を育み、改革の深化により新たな発展の活力を引き出し、ハイレベルの対外開放により国際協力と国際競争面の新たな優位を築き、共同建設・共同統治・果実の共有により社会的発展の新たな局面を切り開いていかなければならない。
●「科学者座談会における講話」は2020年9月11日、総書記が行った講話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
科学技術革新を加速させることは質の高い発展を推進する上で必要であり、人民の高い水準の生活を実現する上で必要であるとともに、新たな発展の形を構築する上で必要であり、社会主義現代化国家の全面的建設に向けた新たな征途を順調に歩み出す上で必要である。それゆえ、われわれは常に世界の科学技術の最先端や経済の主戦場、国の発展にかかわる大きな必要性、人民の生命と健康に目を向けて、絶え間なく科学技術研究をより広く、より深く進めていく必要がある。また、科学者精神を大きく発揚することが必要である。
●「『国民経済・社会発展第14次5ヵ年計画と2035年までの長期目標の策定に関する中共中央の建議』についての説明」は2020年10月26日、総書記が中国共産党第19期5中全会で行った説明である。その中で、総書記は次のように強調している。
新時代の新たな段階の発展は、新たな発展理念を貫徹し、質の高い発展を求めなければならない。新たな発展の形を構築することは、時代とともにわが国の経済発展水準を高めるための戦略的選択であり、わが国の国際的経済協力と国際競争での新たな優位を築くための戦略的選択でもある。供給側構造改革の戦略的方向性を堅持して、国内需要に対する供給システムの適応性を向上させ、滞った経済循環をしっかりと解消し、産業チェーンとサプライチェーンの完全性を高め、国内市場が最終需要の主要な受け皿となるようにし、需要が供給を牽引し、供給が需要を創出する上でのより高い水準の動態的均衡をとるべきである。新たな発展の形は決して閉鎖的な国内循環ではなく、開放的な国内・国際双循環なのである。全人民の共同富裕をいっそう重要な地位に据え、地に足をつけて粘り強く取り組み、この目標に向けてより積極的に努力していいかなければならない。また、発展と経済安全保障との一体的配慮を堅持し、最悪の事態を想定した思考を確立して、さまざまなリスクを防いで課題を効果的に解決しなければならない。系統的なものの見方は基礎的な思考と活動の方法論であるため、こうしたものの見方から各分野の活動と社会主義現代化建設を全面的にバランスよく推進していかなければならない。
●「新たな発展の形を構築し、互恵・ウインウインを実現する」は2020年11月19日、総書記がAPEC・CEOサミットで行った基調演説である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新たな発展の形を構築することは、中国独自の発展段階と発展条件に立脚し、経済のグローバリゼーションと外部環境の変化を十分に考慮した上で行った戦略的選択であり、中国経済の構造調整に適応し、質の高い発展を促す上での内的必要性である。新たな発展の形のもと、中国市場の潜在力が十分に引き出されることで、世界各国のためにより多くの需要を創出することができる。また、中国の開放の門戸がさらに開かれることで、世界各国が発展のチャンスをさらに共有することができる。そして、中国の対外協力が不断に深まっていくことで、世界各国とともに互恵・ウインウインを実現することができるであろう。
●「厳しい試練の中でしっかりとした経済運営活動を行うための法則に対する認識を深める」は2020年12月16日、総書記が中央経済運営活動会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
国内と国際という二つの大局を統一的に考慮し、感染症対策と経済社会発展を統一的に進めるという実践においては、われわれは厳しい試練の中でしっかりと経済運営活動を行うための法則に対する認識を深めた。具体的には、①党中央の権威が緊急事態において全党と全国各民族人民が難題に立ち向かうための根本的な拠り所となること、②人民至上の理念が正しい選択をする根本的前提であること、③制度の優位性が全員で一丸となって共に困難な時局を乗り越えるための根本的保障であること、④科学的な政策決定と創造的な対応策がピンチをチャンスに変える根本的方法であること、⑤科学技術の自立自強が発展の大局を促進する根本的支えであること、という認識である。
●「内需拡大という戦略的出発点を堅持する」は2020年12月16日、総書記が中央経済運営活動会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
強大な国内市場を形成することは新たな発展の形を構築するための重要な支えとなり、大国としての経済的優位性の獲得にもつながっている。われわれの強調している内需拡大は、ただ政府の公共支出だけの拡大にとどまらず、消費や貯蓄、投資の合理的誘導などの面において効果的な制度設計を進めていかなければならない。
●「地道な努力により新たな発展段階における『三農』関連活動にしっかりと取り組む」は2020年12月28日、総書記が中央農村活動会議で行った講話の一部である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新たな発展の形を構築することは、われわれが世界情勢の大きな変動に対応するための戦略的措置であり、国内の発展段階の推移に順応し、発展の主導権を握るために先手を打つ必要がある。戦略的出発点を内需拡大に置くのは、農村は巨大な市場であり、大きく発展する余地があるためである。都市・農村間の経済循環は国内大循環の必要不可欠な構成要素であるのみならず、国内・国際双循環の間の健全な比例関係を維持する大事な要素でもある。そのため、全党・全社会の力を尽くして農村振興を推進して、農業の質・効率の高い発展、農村の快適な居住環境と十分な就業機会、農民の裕福な生活の実現を促さなければならない。
●「新たな発展段階の改革によりいっそう大きなブレークスルーとより大きな実績が得られるようにする」は2020年12月30日、総書記が中央の改革全面的深化委員会第17回会議で行った講話の要旨である。その中で、総書記は次のように指摘している。
改革の継続的推進と党・国家活動の大局への貢献を結びつけて、新たな発展理念の貫徹や新たな発展の形の構築、質の高い発展の推進などの戦略的目標と任務を中心に据え、創造的で先駆的な改革を推進していかなければならない。
●「新たな発展段階をとらえ、新たな発展理念を貫徹し、新たな発展の形を構築する」は2021年1月11日、総書記が中国共産党第19期5中全会の精神の学習・徹底をテーマとした省・部級主要指導幹部セミナーで行った講話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新たな発展段階への突入、新たな発展理念の貫徹、新たな発展の形の構築は、わが国経済社会発展の理論的・歴史的・現実的論理によって決められたものであり、この三つが密接にかかわっている。新たな発展段階に入ったという判断はわが国発展の歴史的位置づけを、新たな発展理念を貫徹するという要請はわが国現代化建設の指導原則を、新たな発展の形を構築するという目標はわが国経済現代化へのロードマップを明確に示した。また、新たな発展段階をとらえることは、新たな発展理念を貫徹し、新たな発展の形を構築する上での現実的な拠り所であり、新たな発展理念を貫徹することは、新たな発展段階をとらえ、新たな発展の形を構築するための行動指針となり、新たな発展の形を構築することは、新たな発展段階のチャンスと課題に対応し、新たな発展理念を貫徹するための戦略的選択である。総書記はさらに、次のように強調した。社会主義現代化の全面的建設と社会主義現代化の基本的実現は、社会主義初級段階におけるわが国発展の要請であり、わが国の社会主義が初級段階からより高い段階へと進む上での要請でもある。根本目的や問題指向、危機意識から新たな発展理念をとらえることが必要である。そして、新たな発展の形を構築するカギは経済循環の円滑化にあり、そのもっとも本質的な特徴は高い水準での自立自強を実現することである。それゆえ、各級の幹部、とりわけ高級幹部は中華民族の偉大な復興戦略の全局と世界の百年に一度の大きな変動に立脚し、絶えず政治的判断力・理解力・執行力を強化し、「国之大者(国家の大事)」を胸に刻み、新たな発展段階をとらえ、新たな発展理念を貫徹し、新たな発展の形を構築する上での政治的能力、戦略的視野、専門的水準を不断に高めていかなければならない。
●「全党は新たな発展理念を完全かつ正確で全面的に貫かなければならない」は2021年1月28日、総書記が主催した中国共産党第19期中央政治局第27回集団学習会で行った談話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新たな発展理念は系統的な理論体系であり、発展の目的や原動力、方式、ロードマップなど一連の理論的・実践的問題に答え、わが党の発展に関する政治的立場や価値観、発展モデル、発展の道筋など重要な政治問題を解明した。さらに、新たな発展理念を経済社会発展の全過程とあらゆる分野に浸透させるとともに、共同富裕の問題をいっそう重視し、引き続き改革開放を深化させ、系統的なものの考え方を堅持し、政治の立場に立って問題を見極める能力を高めるべきだと強調した。
●「わが国の社会保障事業の質の高い発展と持続可能な発展を促進する」は2021年2月26日、総書記が主催した中国共産党第19期中央政治局第28回集団学習会で行った談話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
新たな発展段階、新たな発展理念、新たな発展の形からの新たな要請をしっかりとらえて、中国の特色ある社会保障システムを整備し、社会保障制度の改革を深め、社会保障の法治化を推進するとともに、社会保障の細やかな管理を強化し、感染症の影響に対応する上で社会保障の積極的な役割をよりよく果たさなければならない。
●「現地の実情に即した質の高い発展の道を歩む」は2021年3月7日、総書記が第13期全国人民代表大会第4回会議で青海代表団の審議会に参加した際に行った談話の一部である。その中で、総書記は次のように強調している。
質の高い発展は、第14次5ヵ年計画期、さらにはその後のより長い時期におけるわが国経済社会発展のメインテーマであり、わが国の社会主義現代化建設の全局にかかわるものである。質の高い発展はただ経済面だけに対する要求にとどまらず、経済社会発展のさまざまな側面に対する全般的な要求であり、経済の発達した地域だけに対する要求にとどまらず、すべての地域の発展において徹底されなければならない要求であり、一定期間の、特定事業に対する要求ではなく、長期にわたり堅持しなければならない要求である。
●「人と自然との調和的共生を目指す現代化建設に努める」は2021年4月30日、総書記が主催した中国共産党第19期中央政治局第29回集団学習会で行った談話である。その中で、総書記は次のように指摘している。
第14次5ヵ年計画期におけるわが国の生態文明建設は、低炭素化を戦略の重点とし、汚染物質排出削減と低炭素化との連携による相乗効果を強化し、経済社会発展の全面的なグリーン転換を促進し、生態環境の量的変化から質的変化への転化による質的向上を実現する上で肝心な時期に入るため、人と自然との調和的共生という視点に立って経済社会発展の計画を練らなければならない。また、次のように強調した。カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの実現は、わが国が世界に向けて行った厳かな約束であり、広範かつ抜本的な経済社会の変革であるため、経済社会の発展が資源の効率的な利用とグリーン・低炭素化を前提としたものでなければならない。
「人民日報」2021年8月17日付け 2面